スポーツと子供の未来を考える
- takahashibasketbal
- 5月31日
- 読了時間: 3分
更新日:6月2日
チームとして活動していると、指導者や保護者の考えが子どもたちの成長に大きく影響を与えます。どんなに理想的な運営をしているつもりでも、大人の思惑が知らぬ間に子どもたちへ負担を与えてしまうことがあります。
「多少の罵声は必要」
「社会に出たら、これくらいの厳しさは普通」
「スポーツは競争だから、試合に出られなくても仕方がない」
「上達のためには膨大な時間が必要」
かつての私も、こうした考えを持ち、口にしていた時期がありました。しかし、我が子がそういった環境に身を置いたとき、卒団生が同じスポーツを続けない状況をみたとき、果たしてそれが本当に多くの子どもの心と体の成長過程にとって必要なのか?という疑問を持つようになりました。
スポーツが子どもの健全な成長に貢献する一方で、過度な競争や大人の都合が優先される環境では、子どもたちがスポーツを楽しめなくなることもあります。長時間の練習、連日の試合、競技の早期専門化、一日中試合に出かけてもプレー時間はわずか数分。それらが、子どもの未来を考えた育成と言えるでしょうか?
国立サンズでは、こうした課題を意識しながら育成方針を定めています。
国立サンズは、子どもたちの成長を段階的にサポートするため、明確な育成方針を掲げています。
□U-10(小学生世代全般):「普及」と「育成」 - まずはスポーツの楽しさを体験し、好きになることを大切にします。
□U-12(小学生高学年):「育成」と「挑戦」 - 基礎技術の習得とともに、積極的にチャレンジする姿勢を育みます。
□U-15(中学世代):「育成」と「勝利」 - 確かな技術を土台に、勝利を目指す意識と戦略を学びます。
□U-18(高校世代):「勝利」と「強化」 - 培ってきた力を最大限に発揮し、更なるレベルアップを目指していける。
まで、を私たちは小学生の段階における過度な勝利至上主義ではなく、子どもたちがスポーツの本質的な楽しさを知り、成長していく過程を何よりも大切にしたいと考えています。スポーツに情熱を燃やす子どもたちの気持ちは最も尊重されるべきです。彼らの純粋な想いこそが、成長の原動力となるからです。本当に問われるべきは、その周りにいる大人達が、目の前の勝利や、早期早熟な子だけが活動できる場だけでなく、子どもたちの将来を見据えた指導や環境づくりができているのかどうか、ではないでしょうか。
私の小学生時代は地元県内で上位の強豪スポーツ少年団に所属していました。その経験から、競技スポーツとしてのの厳しさや勝利を目指す環境の価値を理解しています。しかし、その経験が過去を美化し、誤った指導の正当化に繋がることもあると感じています。「自分はこうだったから、子どもたちもこの環境が最適だ」と思い込むことは危険です。
スポーツは本当に素晴らしいものです。私にとってバスケットボールと出会わなかった人生は考えられません。しかし、そのスポーツが時に「毒」になり、子どもたちの心や体を傷つけてしまうことがあるのも事実です。
だからこそ、大人が冷静に考えなければなりません。「今、この環境が子どもたちにとって本当に良いものなのか?」その明確な答えはありません、スポーツを通じて子どもたちの未来に触れる立場として、私たち大人はその責任を自覚しなければなりません。男子バスケのプロ化から10年が経ち、「スポーツで生きていく未来」も現実的なものになりました。だからこそ、育成の在り方も進化させていくべきだと考えています。
子どもたちが夢を持ち、のびのびとスポーツを楽しみながら成長していける環境を提供すること。それが、国立サンズでの私の指導者としての使命です。